パーシャル・パラレル・ミリングシステムとS-3master

少数歯残存症例やいわゆる遊離端欠損要素の強い症例、左右的すれ違い咬合症例では、一般にリジッドサポートにより鉤歯と義歯床とのより確実な一体化を図ることが予知性を高めるうえで望ましい。我々の行った鉤歯保全に有効な支台装置の設定基準に関する一連の研究結果に基づき、臨床で有効なリジッドサポートのための支台装置パーシャル・パラレル・ミリングシステムの開発を行った【図37】。
これは、フル・パラレル・ミリングとコーヌス・クローネの両者の利点を生かし、欠点を補ったもので、ファンクショナルテーブルとフリクションピンを組み込み、Co-Cr合金によるワンピースキャストで製作する。製作法がシステム化されており、機能圧の適正配分に有効なうえ維持力のコントロールが可能で、審美性、自浄性、装着感にも優れている。

 また、適正なパーシャル・パラレル・ミリングの製作には、電磁ロック機能を備え、ブレがなく低速で安定したミリング操作が行えるミリングマシーンが不可欠であり、これらの条件を備えたミリングマシーンS-3masterを開発し、臨床応用している【図38】。

図37
図38